AIチームで記事をつくる|Claude×Codexで始めた記事制作の記録
AIに記事を任せたい。ただ、丸投げでは読める記事になりませんでした。画像は3回作り直し、企画は20本まとめて没にしています。
そこから作ったのが、企画、執筆、校正、SEO監修、画像制作で役割を分ける体制です。このコラムの初稿も、その体制で作りました。人間が判断するのは企画を通すときと、公開するとき。ここで紹介するのは、当時の制作方法と、そこに至るまでの試行錯誤です。
少なくとも記事制作では、AIの性能だけでなく、役割をどう分け、貯めた文書をどう使うかで成果物に差がつく。 私たちはそう考えています。
書く役割と、確かめる役割を分ける
最初は、1回の指示で記事1本を仕上げてもらう形も試しました。速いのですが、出てくるのは無難な一般論でした。同じAIに続けて校正させても、自分が書いた原稿へのチェックが甘くなっていました。
そこで、執筆しながら自分で校正済みにしない、というルールを作りました。校正では原稿を初めて見る目で、チェックリストを最初から当てます。
当時は企画、執筆、校正、SEO監修をClaude(Anthropic社のAI)が役割を切り替えて担当し、画像制作はCodex(OpenAI社のAI)に渡していました。校正とSEO監修も別です。原稿そのものに誤りがないかを見ることと、読者や検索の側から記事全体を見ることでは、確かめたいものが違うからです。
AIが書いた記事は、検索で不利にならないのか。この点について、Googleは検索セントラルの公式ブログ(2023年)で、制作手段ではなくコンテンツの品質で評価すると説明しています。ただし、検索順位の操作を目的とした大量生成はスパムとして扱われます。私たちも、量を増やす前に品質を確かめる体制を作ろうと考えました。
役割の定義は、その場の指示で済ませず、1枚ずつ文書にしました。ミッション、担当業務、判断基準、品質基準、禁止事項を書いています。企画担当なら「人間の承認なしに執筆へ進めない」。執筆担当なら「根拠のない統計値を引用しない」といった内容です。
もう1枚、全員が読む文書もあります。「誰として考えるか」を定義したものです。何を大事にし、どんな順番で考え、何を書かないのか。書き方だけを指定しても、自社として何を伝えたいかは決まりません。企画も執筆も校正も、この考え方を下敷きにしました。

人間が判断する場所を、先に決めておく
制作は、5つの工程にCMSへの下書き登録と公開を加えた順に進めていました。人間が入るのは、企画の承認と公開判断の2か所です。途中の判断基準を文書にしておいたので、毎回細かく指示する必要はありませんでした。
たとえば企画には、「この記事を他社が書けるなら没」という基準を置きました。検索されそうなキーワードから考え始めるのではなく、伝えたい考えを先に持ち、それを検索ニーズにつなぐ。AIにはこの基準に合う案を出してもらい、人間が通すかどうかを決めます。
受け渡しも、すべてファイル経由です。企画書、原稿、校正結果、画像の発注書、進行状況を共有フォルダに残し、チャットの記憶には頼りません。担当が入れ替わっても流れを追えますし、「なぜこの見出しにしたのか」が気になれば企画書まで戻れます。
中小企業の仕事の引き継ぎと、構造は同じでした。頭の中にある仕事は渡しにくい。判断した理由まで文書になっていれば、相手がAIでも続きを引き取れます。
画像も企画も、そのままでは使えなかった
体制だけを見ると順調そうですが、そこに至るまでには大きく3つの修正がありました。
1つ目は画像です。最初はHTMLを画面写真にしましたが、「なんか不自然」という指摘を受けました。次に写実的なイラストを試すと、人物とパソコンの画面が反対を向いた、物理的におかしい画像が出てきました。3回目はフラットな図形に変えましたが、これも「いかにもAIで作った挿絵」と言われています。
共通していたのは、記事との関係が薄いモチーフを選んでいたことです。歯車、吹き出し、虫眼鏡。何にでも使える部品を組み合わせても、その記事ならではの内容は伝わりません。この時点ではイラストとアイコンをやめ、タイトルの組版と色の使い分けで見せる方針にしました。
2つ目は企画です。最初の20本は、全面的に作り直しました。「方向性は合っているが、一般論によりすぎて独自性のないコンテンツに仕上がりそう」という指摘です。以後は、自社の実践、支援現場の実例、明確な主張、その場で配れる実物のいずれかを、「独自性の源泉」として必ず1つ以上持たせています。
3つ目は、書き手の立ち位置でした。考え方の文書を渡すと、AIは書き手個人を名乗る文章を返してきました。考え方を伝えることと、個人を前面に出すことは別です。ここは意見の主語を「私たち」に統一しました。
私たちは、この3つをAIが勝手に暴走した結果とは捉えていません。指示の足りない部分で、平均的な答えに寄ったのだと考えています。寄ってほしくないところは、先に書いて渡す必要がありました。

指摘は、その場の修正で終わらせない
同じ失敗を繰り返さないために、「フィードバックログ」という文書を1枚作りました。人間から指摘を受けたら追記し、どの役割も作業前に読みます。
残すのは、何を言われたか、どう直したか、次から何を変えるか、の3点です。特に3つ目がないと、次の仕事に使えません。「画像が不自然」とだけ残しても、次の担当は困ります。「汎用アイコンの組み合わせでは記事固有の内容を表現できない」まで書けば、モチーフを選ぶときの判断材料になります。
同じ種類の指摘が続いたら、ルール文書にも反映しました。AIっぽい言い回しへの指摘は、スタイルガイドに1章を足しています。ダーシの多用、太字の乱発、決まり文句の反復、箇条書きへの依存など、避けたい癖を具体的に残しました。
その場のプロンプトだけを工夫しても、次の仕事へ渡さなければそこで終わります。文書なら残せます。記事を作るほど、判断に使える材料も増えていきます。
AIのモデルは、時間がたてば誰でも同じ性能を使えるようになっていくと見ています。そのとき、自社のAIに何を読ませられるかが会社ごとの差になる。フィードバックログは、そのための資産だと考えています。
自動で確かめられる範囲には、限界がある
画像の発注から制作、納品物の検査、記録までは、ひとつながりの処理にしていました。途中で人間が指示を挟む必要はありません。
ただ、この機械検査で見ていたのはファイル名、枚数、寸法などの形式です。人物とパソコンの向きが逆でも、寸法は正しいままです。日本語として自然か、ブランドの雰囲気に合うか、記事と絵が合っているかは、それだけではわかりません。
そこで別の役割のAIによる目視検収も入れました。それでも見落としました。向きが逆の画像に最後に気づいたのは、人間です。
少なくともこの制作では、「なんとなく不自然」という違和感を人が拾う必要がありました。記事も同じです。文字数や表記の統一を確認できることと、読んで面白いことは別でした。
どこまでをAIと自動処理に任せ、どこから人が引き取るか。ここを決めて、私たちは判断に迷わなくなりました。曖昧なままだと結局すべてを人が確認し直すことになり、手間が増えます。AI導入が続かない理由の1つも、この線引きにあるのではないかと考えています。これはまだ仮説です。
自社で始めるなら、まず判断基準を文書にする
大きな投資の前に、用意できるものがあります。
- 自社の文体と、避けたい言い回しを1枚にまとめる
- 「書く役割」と「チェックする役割」を分ける(同じ相手に続けてやらせない)
- 指摘を貯めるログを1枚作る(言われたこと、直したこと、次から変えること)
- 人間が判断する場所を決めて、はっきり書き出す
この整理に高価なツールは要りません。ただ、判断基準を言葉にする手間はかかります。見積書の作成や問い合わせへの返信でも、役割を分け、指摘を残し、次の仕事で読むという構造は使えるはずです。どの業務から始めるか迷う場合は、中小企業のAI活用、何から始める?も参考にしてください。
Polyzmでは、この自社実践をもとに、中小企業のAI活用と業務の仕組み化を支援しています。自社のどの業務なら役割を分けられそうか、一緒に整理したい方は相談窓口からご相談ください。