経営・戦略

設立1年目の会社が作った「業務の仕組み」を全部見せます|Polyzmのリアルな道具立て

Polyzmは2025年10月に設立された、中小企業のDX支援を行う小さな会社です。お客様に業務の仕組み化を提案している私たち自身は、どう仕事を回しているのか。設立1年目に作った道具立てとルールを、当時の試行錯誤も含めて残しておきます。

手の内を明かしてもいい、と考えています。道具は今日から真似できても、運用しながら貯まる文書やノウハウまでは真似できないからです。会社の競争力は、そちらにあると思っています。

それに、仕組み化の一般論はすでにたくさんあります。経営者が知りたいのは、「で、実際おたくはどうやってるの?」というところではないでしょうか。

人を増やす前に、渡せる仕事を探す

少人数なので、人手に余裕はありません。その事情は支援先の中小企業と同じです。設立時に決めたのは、仕事が増えたら、まず仕組みかAIに渡せないか考えること。人を増やすのは、その後にしました。

採用にはお金も時間もかかり、小さい会社では一度の失敗が経営に響きます。人が増えれば、教える時間と管理する時間も必要です。

私たちは、経営でいちばん貴重な資源は時間だと考えています。なので先に、いまいる人と道具でどこまで回るかを試したい。繰り返す仕事を仕組みに渡して、時間を取り戻したい。その判断から、ここで紹介する仕組みを作りました。

情報の置き場所だけでなく、判断の理由もそろえる

使っている道具は普通です。会社の情報は、共有ドライブ(Google Drive)に集めています。道具よりも、次の2つのルールを重視しました。

1つは、会社の情報を個人の頭の中や個人のPCだけに置かないことです。議事録、判断の理由、顧客とのやり取りの要点を、決まった場所に文書で残します。結果だけでなく理由を書くのは、似た場面が来たときにゼロから考え直さずに済むようにするためです。

もう1つは、ルール自体も文書にすること。会社の運用ルールもAIツールの使い方も、1枚ずつにまとめました。

整理整頓だけが目的ではありません。AIのモデルは、時間がたてば誰でも同じ性能を使えるようになっていくと見ています。そのときに差がつくのは、自社のAIに何を読ませられるか。蓄積した独自の文書とデータは、長く会社を支えるものになると考えています。

AIには、任せる役割と前提情報を渡す

思いついたときにチャットで質問するだけでなく、役割を決めて業務に組み込みました。

経営判断の相談相手には、財務、マーケティング、プロダクト、技術といった役割ごとに、会社の前提情報を読ませたAIを用意しました。うちの状況を文書で知っているので、一般論から一歩進んで「うちの場合はどうか」を相談できます。

少人数の会社にCFOやCMOはいません。AIがその代わりを完璧に務めるわけではありませんが、ひとりで決めるより判断の質は上がると感じています。あくまで、足りない部分を補う使い方です。

コラム制作でも、役割を分けた

この記事の初稿も、当時のAIによる分業体制で作りました。企画、執筆、校正はClaude(Anthropic社のAI)がディレクター、ライター、校正者の役割を切り替えて担当し、サムネイルや図解の画像制作はCodex(OpenAI社のAI)に渡していました。代表が判断するのは、企画の承認と公開前の最終チェックです。

AI同士の連携は、すべてファイル経由にしました。企画書、原稿、画像の発注書、進行状況が共有フォルダに残るので、担当のAIが変わっても、後から人が見ても、仕事を追えます。

人間からの指摘は「フィードバックログ」に貯め、作業の前に読ませていました。この記事も、「AIっぽい言い回しをやめてほしい」という代表の指摘を渡して書いたものです。その場で直して終わらせず、次の記事でも判断に使う。ここでも、先に文書を残しておくことが効いています。

Polyzmのコラム制作フロー:企画・執筆・校正のAIと画像制作のAIがファイル経由で連携し、人間が承認と公開を行う図

自動化する前に、一度手で回してみる

役割を渡しても、毎回人間が手順を指示していては手が離れません。繰り返す仕事は、手順をひとつにつないだ自動処理にしました。パイプラインと呼んでいるものです。

当時のコラム制作では、画像の発注、制作、サイズや枚数の機械チェック、旧版の退避、記録までを1本の処理にしていました。途中の指示は挟まず、出来上がった画像を人が最終確認します。問題があれば、発注書を直してもう一度流す形です。

ただし、最初から自動化はしません。まず手作業でやり、うまくいった手順を文書にし、それから自動処理に置き換えます。

遠回りに見えますが、手順が曖昧なまま自動化すると、例外に弱くなります。これは支援の現場でも自社でも、同じ結論になりました。先に手順書を作るのは、自動化した後に何を直せばいいかもわかる状態にしておくためです。

一冊の本を中心に道具を配置した小さな工房の模型。情報と判断の理由を共有するイメージ。

ホームページも、更新を続けられる形にする

私たちはホームページを、問い合わせを生み続ける仕組みとして考えています。そのため、自社サイトはCMS(コンテンツ管理システム)を入れ、自社で更新できる構成にしました。更新のたびに外部へ依頼していると、直したいと思ったときから反映までに間が空いてしまいます。

コラムはAIが下書き登録まで済ませ、人間が中身を確認して公開を判断する流れにしていました。どこまで任せ、どこから人が引き取るかを先に決めると、その都度迷わずに進められます。

見込み客の情報収集と一覧化も、ダッシュボードで自動化しました。探す時間や転記する時間を減らして、見込み客と向き合う営業の時間に回すためです。

どれも高価なツールは使っていません。人がやらなくていい部分を探して、そこを道具に渡す、という考え方です。

それでも、人に残る仕事はある

ここまで任せても、成果物の品質確認には人の目が必要でした。文章や画像の「なんとなく不自然」という違和感は、機械のチェックでは拾いきれません。公開前には人が確認していますし、AIに任せて放置するつもりもありません。

仕組み自体の見直しも残ります。フィードバックログを作っても、書かれたルールが古くなっていないかは確かめる必要があります。

商談や提案など、相手のある仕事は、当時も属人的なままでした。感情が絡む仕事は最後まで人に残るのではないか、というのが今のところの仮説です。ここは断定せず、数年後に読み返して答え合わせをしたいと思っています。

それでも、設立1年目の少人数の会社が、情報を集め、AIに役割を渡し、繰り返す手順を自動化して仕事を回した。この途中経過は、ひとつの実例になると思います。

小さい会社の仕組み化3原則:情報は1か所に文書で集める、AIには役割を与える、手順書を先に作り自動化は後、のまとめ図

最初に整えるのは、情報の置き場所

自社で試すなら、まず情報を1か所に集め、判断や手順を文書にするところから。そのうえでAIに役割を渡し、手順が決まった仕事を自動化する。この順番を勧めます。

AIの性能が横並びになっていくとすれば、使うための材料を蓄積していることは、なおさら効いてくるはずです。いきなり大きな自動化を作れなくても、今日決めたことと、その理由を残すところから始められます。

Polyzmでは、この自社実践で得たノウハウをもとに、中小企業の業務の仕組み化とAI活用を支援しています。自社ならどこから始められるか、一緒に整理したい方は相談窓口からご相談ください。

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